ヨーロッパ車の香り・・・（2）

MMJマガジン
2020.12.1

ヨーロッパ車の香り・・・（2）

　　　　　　欧州車の原書を紹介

　　　　　倉田　伸治

筆者略歴

倉田伸治　Kurata Shinji

輸入車ディーラー勤務を経て、1996年に自動車の洋書を専門に扱う書店「モービルライブラリー」を東京・御茶ノ水に開業。イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの自動車専門書籍を多数輸入販売している。新刊の他、希少本、絶版本などを取り揃えヨーロッパ車の魅力を伝えている。

ご紹介書籍

ALVIS THE COMPLETE STORY

Matthew Vale著/英語/192ページ/約26.7×2.1cm

価格：￥5,800(消費税込み)

最近、ヴィンテージカー愛好家の間で静かな話題になっている英国の名車アルヴィスの本を御紹介したいと思います。アルヴィスは1919年に創業した小規模なメーカーで、英国車の歴史の中で少なからず存在した“サラブレッドカー”を製造していました。

過去形で書くのは正しくないかもしれません。現在でもお望みならばメーカーによって製作されたコンティニュエーションシリーズという新車が手に入るからです。戦前のモータリングの楽しみを現代にも楽しめるのは、何かタイムマシンに乗ったようで、考えただけで楽しくなりますね。

　そのアルヴィスに関して現在手に入る本がここに紹介する「ALVIS THE COMPLETE STORY」です。コンプリートストーリーと書かれているようにアルヴィス全般についての物語で、創業から円熟期を迎え1967年に生産を終えるまで書かれています。既にアルヴィスについて勉強されている方も、これから購入するための予備知識として読みたい方も納得される良書であると思います。

アルヴィスの技術的特徴として有名なのは、前輪駆動やアルミニュウム製クランクケースを持つ直列6シリンダー・エンジンでしょう。本書ではこのあたりの解説が親切丁寧に写真解説で書かれており、アルヴィスのモデル変遷と共に重要なポイントがクラシックカー初心者でも良く理解出来ます。前途のコンティニュエーションシリーズとして日本に導入される4.3リッターモデル、Speed 25のボディ・コーチワークに関しても写真で解説されています。　　