欧州車の原書を紹介
倉田 伸治
筆者略歴
倉田伸治 Kurata Shinji
輸入車ディーラー勤務を経て、1996年に自動車の洋書を専門に扱う書店「モービルライブラリー」を東京・御茶ノ水に開業。イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの自動車専門書籍を多数輸入販売している。新刊の他、希少本、絶版本などを取り揃えヨーロッパ車の魅力を伝えている。
ご紹介書籍
自動車に関する書物が古くから親しまれ、単に性能や技術の研究を超えて、クルマの歴史的読み物の領域に踏み込んだ本が数多く存在する英国ですが、その中でもオースチンに関する本は整備書、歴史書、写真集、個人のレストア記など色々な種類が出版されてきました。
インサイドストーリーとして書かれた本書は、戦前のセブンから戦後のA40、A50、A60、ミニの開発現場までオースチンの自動車製造の足跡を克明に解説し、中でも1905年に創立したロングブリッジ工場で活躍した人々が英国の自動車工業に尽力した歴史が読み取れます。
御存知のようにオースチン・セブンと云えば”A motor for the millions”として民衆に親しまれた名車です。若き日にセブンの開発に身を捧げた設計者スタンレー・エッジの功績の部分を読破するだけでも本書を入手する価値はあるでしょう。
著者はクラシックカーを愛するエンスージアストですが、かなりの時間を費やし、資料収集をしてこの本を書き上げたようです。
時は進んで1950年代、日産自動車はオースチンA40のノックダウン生産により自動車の製造を学ぶことになるのですが、その経緯も”Letter from Tokyo”として解説されており、ボディプレス、エンジン製造の技術指導を貴重な写真で知ることが出来ます。
日産製オースチンのオーナーにはかなり興味深い部分ではないでしょうか。オースチンの歴史を通して、人々に受け容れられるクルマ作りの難しさをを考えさせられる1冊でもあります。
★MEN AND MOTORS OF THE AUSTIN
Barney Sharratt著/HAYNES社刊/英語/272ページ/約27.5×21.5cm
価格:¥6,800(消費税込み)
この本に関してのお問い合わせは、下記までお願い申し上げます。
モービルライブラリー (自動車の洋書専門店)
ホームページ http://www.mobilelibrary.jp
メール motoring20kurata@s8.dion.ne.jp
電話 03-3818-6108
担当:(倉田伸治)
次号に続く
日本自動車博物館展示車
オースチン A40 サマーセット
オースチン A50 ケンブリッジ
オースチン A50 バン
以上