自動車遊び 追求人 星埜 道夫
person in pursuit of the pleasure of the car
筆者紹介
星埜道夫
略歴
1948年7月生 横浜生まれ 本籍:東京都
0歳~5歳 東京都町田市在住
5歳~中2 埼玉県さいたま市在住
中3~高3 栃木県宇都宮高校在籍
1974年~2008年 トヨタ自動車株式会社在籍
・主に海外生産畑を担当、長く海外生活を送る
2008年~2016年 曙ブレーキ工業在籍
・研修インストラクターとして人材育成に活躍
2016年~ 自動車遊びに専念
(小型高性能車大好きフリーク)
趣味 読書、音楽鑑賞、自動車遊び、モノ作り
会社時代の 着眼大局・着手小局
キーワド
英国ヒルクライム事情その1
Prescott Hill
1)1986年南アフリカのダーバンにて
前の晩にヨハネスブルクから移動。朝、ホテルのエントランスで待っていると、友達のD氏がモーガン+8でやってきました。これからダーバン近郊の丘陵地へ地元のヒルクライムレース見学です。コースは基本的には舗装された田舎道。
このヒルクライムは月一回、ダーバン自動車クラブが開催しているそうで、Dさんはその役員。自分の過去ベストに対しての改善幅で順位を競う方式。幾ら早くても、前回より遅ければ勝てない!
参加車両はFord カプリV8レ―シンガー風から、普段は奥様の買い物車のTriumphヘラルドまで、実にいい感じ!ホンダ以前に一世を風靡した英国製二輪GPレーサーレプリカもありました。
友達のB君はフェンダーを叩き出したFordエスコートラリー仕様風。前回からギアボックスをVolvoの5速に換装したとのこと。「レースが終わってから次のレースまでの間に自分でチューニング、効果を次のレースで確かめられるので楽しいよ!」。皆さん「My Own Risk」(自己責任)の精神が徹底し、自分で責任を持てる範囲で楽しんでます。
D氏は「ヒルクライムはアクセルオフで減速するので基本的に安全。更にコースも両側が高くなる切通しをなるべく選んでいて危険の低減に努力している。ベストとの差で競うから高額部品競争にもなりにくいし、今のところうまく運営できていると思う」と説明してくれました。
緩やかな規則で、お金をかけずに楽しく遊べる。こんなレース日本でもできないかな!・・・・・てなことで、ヒルクライムが盛んな英国事情を見学してきました。
2)英国のヒルクライムの特徴
Wikipedia の説明によるとイギリスのヒルクライムの特徴は「距離が短い事」。比較的距離と高低差の大きな欧大陸側のとは性格を異にしていて、エントラントの交流も少ないとのこと。
英国ヒルクライムチャンピオンシップに加入しているのは以下のコース。
(年複数回開催しているところもあり。)
コース名 | 距離 | 州名 | 場所 |
バートン | 814m | カンブリア | 英国北部スコットランド南 |
ボウレィ.ベイ | 918m | ジャージー島 | 英国とアイルランド中間 |
クライガントレット | 1335m | ダウン | マン島のアイルランド側 |
ドゥーン* | 1350m | パースシャー | 英国中部 |
ガストン・ダウン* | 967m | ウィルトシャー | 英国南、ロンドン西 |
ハーウッド* | 1447m | ヨークシャー | マンチェスター北東 |
ロトン パーク* | 1349m | シュロップシャー | 英国中部 |
プレスコット* | 1031m | グロスターシャー | ロンドン西北西 |
シェルズリー・ウォルシュ* | 914m | ウスターシャー | 英国中部 |
バル・デス・テレス* | 777m | ガーンジー英国王室属領 | 英国海峡中央の島 |
ウィスコンベ パーク* | 914m | デヴォン | 英国南西部 |
ボーネス ヒルクライム* | 805m | ウエスト・ロージアン | スコットランド |
フィントレー ヒルクライム* | 604m | アバディーンシャー | スコットランド |
フォレストバーン ヒルクライム* | 1030m | ノース・ラナークシャー | スコットランド |
グッドウッド フェスティバルオブスピード | 2367m | ウエスト・サセックス | 英国南部 |
スリン・ア・フラン | 503m | ペンブルックシャー | 英国南部最西端 |
カイヌキャッスル | アントリム | 北アイルランド |
備考:*常設コース
プレスコット・ヒル
BBCのトップギアに出てきたり、プレスコットのコースは英国一のブランド。
第13弾でご紹介したBugatti Owner’s Clubのすぐ横。田舎道を入った奥にありました。
Bugattiオーナーズクラブの基にヒルクライム競技場として設立されたとの但し書きとコースレイアウト
一目見ただけで「英国」を連想させるアレンジ!
スタートしてから、ブリッジまで直線、その後緩やかに左に曲がり、次が急なヘアピン。ヘヤピンの前に分岐があり、レースによってはヘアピン抜きの場合もあるそうです。その後、結構きついのぼりで左ターン。この辺りはTVなどでよく出てくる風景。その後、農家の横を抜けてつづら折れに。その後、緩く右ターン、直線、ゴール。基本的にはガードレールなどで安全を確保しているが、つづら折れの後の緩い右ターンは、ガードレール無く、安全?に100mほどコースアウトできるアレンジ。英国でも珍しいそうですが、フィニッシュ後は別の道でパドックまで戻れるので、継続してレースが運営できるとのこと
印象的なのが観客対応。レース日は7千人から多いときで1万5千人の観客が入ると言うことで、コースの両側から観戦できるアレンジ。コースの維持・運営はレースの観客入場料が主な財源になっているとのことでしたが、法律・地元対策で山奥の観客が入れない場所でやらざるを得ない日本のヒルクライムとは大違い。
実際のレースは、いろいろなクラブが主催し、コース側は場所を提供する立場になるそうです。
<第14弾その2に続く>